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[ 労働保険関連のお仕事 ] 2013年4月24日
従来では,本業と副業の二重就労のための移動中に生じた事故等は労災保険制度の対象ではありませんでした。ただし、平成18年に労災保険法が改正され、二重就労先への移動途中の災害も通勤災害補償の対象とすることになりました
本業と副業で2社に勤務する労働者は、当然それぞれの会社が労災保険の適用事業です。したがって、一方の会社で業務上災害あるいは通勤災害で休業せざるを得ない場合には、副業している、していないに関わらず「給付基礎日額」の60%の休業(補償)給付が支給されます。
そこで問題になるのが「給付基礎日額」」の算定方法です。「給付基礎日額」は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額となっていますが、この平均賃金の算定にあたって2社分の賃金を算入し平均賃金を算定するかどうかで休業(補償)給付の額が大きく変わってくることになります。もちろん、労働者の生活保障ということを考えれば2社分の賃金を基礎とすることが望ましいのですが、実際には「労働者が2事業場で使用され、両事業場から支払われた賃金の合計額でなく、算定事由の発生した事業場で支払われた賃金のみをいう。」(昭28・10・2 基収第3048号)となっています。
そのため被災した会社から受ける賃金のみで平均賃金を算定することになります。
つまり、まとめると以下のようになります。
①本業のA社から副業のB社へ移動している時の事故が起きた場合
→B社で起きた事故として労災保険の適用を受ける。給付基礎日額の算定はB社で受け取っている賃金を基に行われる。
②副業のB社から本業のA社へ移動している時に事故が起きた場合
→A社で起きた事故として労災保険の適用を受ける。給付基礎日額の算定はA社で受け取っている賃金を基に行われる。
厚生労働省は2004年に労災補償の遺族年金や障害年金などの給付制度について、2つ以上の仕事を持つ労働者の増加に対応するため、1つの仕事の収入しか補償していない現行の算定方式を見直し、労災に遭った労働者が得ていた本業と副業の収入を合算して支給する方針を決めましたが、今日現在法改正にはまだ至っておりません。2つ以上の仕事を持つ人々に手厚い補償が行われるためにも早く法改正がなされることを願います。
※このページは2013年4月24日時点の情報を元に執筆されています。最新の情報とは異なる場合もございますので、あらかじめご了承ください。
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